8月の短歌
豆電球だって虹になれる光は持っているけど 出られない
夕暮れの規制ラインを乗り越えて私だけが溶けてゆく闇夜
どうしてもつかめない幸せは紅茶に溶けゆく砂糖菓子の城
もういなくなってしまった人の恋 現像をして窓辺に飾る
ここでしか呼吸することできません 巣の端っこに置いてください
降った雪すべてなくなる夕暮れに オモチといえばすべてオモチだ
だんだんと眠りが満ちる夕暮れにあなたの影を探して迷う
たくさんの眠気を誘うカロリーが満たされているあなたの心
信じることはさらけ出すこと 子クジラのペンダントを胸に下げる
コミュニケーションエラー 糸は絡まり一つのセーターにはなれない
たくさんのパラレル未来夢想して彼と出会える可能性探す
麦茶飲み夏に向かってミネラルと叫んでみても汗は止まらず
死んでいる君のお墓に五億円供えて叶ってよ蘇生術
ほろほろのクッキーさくりと噛みしめ 心は刺されて刺してゆくのみ
終端は見えないけれどそこにある 虹の根っこにたどり着きたい
あざやかにガラスを割っていくようなハッピーデイズコミュニケーション
踏切の向こう側の異界には踏み入れないで秋になるから
プリズムに光を当てて分離したつめたい光が夜を照らす