短歌:7月後半のやつ
なにもかも間違いだとしても隣同士の鉢植えでいたかった
スニーカー青色の紐きゅっと締め空に向かって覚悟してろよ
2年C組恋心の乱 里中君は委員長を仕留め
光速が解明される時代でも歩く速さでよりそっていく
原子と原子は混ざることがない テトラポッド乗り口笛を吹く
空色の水たまりの中パラレルな世界にパラソルを持つ君
光速でニュースが巡る回線で 歩く速さでよりそっていく
逆さまの狂う時計の世界では恋しい君に嫌いっていう
たんぽぽのお酒 昨日の友に向かって今日も生きようと乾杯
神様にミュートされても息するし酸素がないと生きてけないよ
真夜中にぎゅっとするのが愛ならば私は愛を愛しています
選ばれなかったものは選ぶことを知らず 桜桃をひとつぶ食べる
たこやきをひっくり返すそのときにそうだ明日も生きてみようか
あなたは雲からさす光 灰の夕暮れ 一緒に帰りたかった
川の中青を感じて渡ってく 光によって救われたいよ
こんなにもきれいなことが仕組まれて ただの歯車と言ってごめん
あんなことがあった土砂降りあとの会話 ポツポツと小雨のように
いいことなんてぜんぜんないんです 梔子の花を封筒に入れ
水色の雨の香りのさびしさにさいはての地に透明な虹
ファブリーズでも消えない私の頭のなかのぼんやりとした君