willow-leaf log

ひっそりこそり

いちごつみまとめ第三期

 荒地識さんといちごつみをやりました。下記の記事が第二期へのリンクになっています。

 

willow-leaf.hatenadiary.jp

 

 61首になったので、一区切りをつけていちごつみ第三期としてブログに公開することにしました。

 2019/08/28にはじまって2019/12/01にまでやってたので、約3ヶ月間やってたことになりますね。

 奇数番が荒地識さんで、偶数が私ですが、34首と35首は勘違いで2つ連続で私が詠んでしまいました。

 

 

01:幾月も更新されないカレンダーふれたさきから雪ふりつもる

 


02:フォロー欄最深部に埋まってる更新されないあのアカウント

 


03:お願いよ最深部にまで連れてって戻れなくても構わないから

 


04:2番めの横断歩道渡ったら(ここは地獄だ)戻れなくなる

 


05:あれは芥子いちめんの芥子 どうしてきみがここにいる?ここは地獄か?

 


06:いちめんに生きる理由があるけれどとてもまぶしく掴み取れない

 


07:まぶしくて目を細めただけだけど「楽しそうだね」ってきみが言う

 


08:死んじゃったきみの齢を追い越す日重たいタバコをゆっくりと吸う

 


09:煙草から溶け出す僕の尊厳が喫煙室で行き場失う

 


10:尊厳を探して回る道筋で茨の棘に皮膚を裂かれる

 


11:ささやかな茨の棘が恋人を傷つける夜わすれないで

 


12:恋人は少し苦い炭酸水私は川へ導かれてく

 


13:満月のひかりがとけた炭酸水たんとお飲みよ夜が赦すよ

 


14:赦してと言うことすらも赦されず辞典をめくり言葉を探す

 


15:今はまだ気づかないよう五年後の言葉で告げる一生の別れ

 


16:五年後はどこにいるかなんて  ここが地獄なのかもわからないのに

 


17:地獄での待ち合わせには目印が足りませんので待ってください

 


18:待ち合わせ場所に付いたは良いけれど犬の銅像100体はある

 


19:100体もきみがいたなら1体は世界征服するんだろうな

 


20:制服の丈を少し詰めてみたズッ友だったら良かったのにな

 


21:生来の自信のなさがあらわれたスカート丈を風が縮める

 


22:フリーズドライ化した自信をあたたかい湯をかけて戻そうとする

 


23:あたたかい言葉でできた浴槽に沈んだ僕を捜さぬように

 


24:浴槽でシャボン玉を吹く  壊れても受け止めてくれるあたたかさ

 


25:しゃぼん玉壊してまわるハチワレの猫の目線で空を見上げる

 


26:夕方に空を見上げるときいつも一番星が見えますように

 


27:夕方のパンザマストと合唱す声色かすかに震えていた

 


28:手を伸ばし頭なでると眉下がり少し震えた元ノラの犬

 


29:野良犬に追いかけられる下り坂怖さでいえばジェットコースター

 


30:下り坂ひとりで歩む道のりは  後ろに星があると知らずに

 


31:終末を迎える星の片隅でいのちを燃やす線香花火

 


32:片隅でふたりその手をつなぎたい愛ってとてもあたたかいんだ

 


33:いつもより人が多いとか寒いとか 手を繋ぎたい言い訳ばかり

 


34:午後九時の鯨たゆたう喫茶室待ち合わせには半刻はやい

 


35:パソコンの画面の先の君を待つ鯨のようにふくらむきもち

 


36:いつだって(笑)を打つとき祈ってる画面の先に伝われ温度

 


37:キーボード打つとき猫背になるきみの前世は猫で来世は虎だ

 


38:猫の皮脱げないままの虎ですが窮屈すぎて息ができない

 


39:猫の皮脱がないままでいてほしい僕の名前の貸し出し記録

 


40:脱皮した蝉の抜け殻すりつぶすかつてはあったあのような時期

 


41:唐突に終わりを告げる 足元で蝉の抜け殻くしゃりとつぶれ

 


42:唐突に終わりを告げたあの日から本の埃は積もり続ける

 

 

43:未明から積もり続ける初雪が朝のひかりをはらむ瞬間

 


44:見えずともその感触はいつもある朝のひかりをはらめよ闇夜

 


45:感触がなくなるまでは離さないショパンの響くつめたい廊下

 


46:あたりまえでない僕らが歩んでく廊下はまるで迷路のようで

 


47:登れない迷路の壁に刻まれた三年前の思い出なぞる

 


48:壊せない四方の壁に刻まれた言葉の意味も思い出せない

 


49:  壊せないものばかり増え身動きがとれなくなって自爆しました

 


50:自爆した人の後から発表しハキハキ喋り賞をもらった

 


51:人生をがんばりましたで賞 しとあたたかなねむりそしておわかれ

 


52:ささやかに生きのびていく僕たちが手に握っている片道切符

 


53:今日もまた生きのびていく来年も生きるつもりで球根埋める

 


54:地面から放っておいた球根の呼ぶ声がする 「水をください」

 


55:細やかな水音を聴く夜明け前まどろみのなか海を見つける

 


56:まどろみにふたりとけてく土曜日の小雨の色は淡い青色

 


57:青色のあなたの傘にはじかれた雨の残りで肩を湿らす

 


58:この道はいつか別れてしまうから深く傘さし見えないふりを

 


59:嫌いですわたしを置いてこの道をまっすぐ行ってしまうあなたが

 


60:なにもかも滲んだ視野の目の前に置かれた飴はポケットの中

 


61:ポケットのなかから飛び出す冬がある去年の今日はおでんを食べた

 


62:今すぐに飛んでしまえと声がする五階なんか住まなきゃよかった