2020年9月と10月の短歌
どうしようもなく春の若葉にはさまざまなものがかけられました
人間の水銀の音に比べれば鋏のそれは鈍くて重い
スケジュール帳には書いてないけれどこれから先も生きると思う
もういない人たちみんなきらいだな小枝にとまる鳥のぐらつき
すくすくと育っていくよ子供たちプール開きに反射する青
ゆっくりとチラシで箱を折っていく手にしたものは全部嘘だよ
ありふれなかったものから消えていきミニサボテンがラックに残る
雪道を振り返らずに歩いてくコートを脱げる春を求めて
運命の至る道筋さがしてるパンくずリストの深く深くへ
青空をはるかにこえた風船が割れるところを見たことがない
転職し年収半減した人の400万はどこにいったの
雨の中過ぎ去っていくポストにも祈りはきっと折り重なって
さよならは挨拶じゃなく感情でだから手を振るめっちゃ手を振る
公開をしてもよくなったから流される日誌に書かれてること
もういないかみさまいなくなったから人々たちに祈られている