10月の短歌
幸せになれないことを刻まれて玉ねぎだけのカレーを作る
神様はいないけれど猫はいますエノコログサで和解できます
鮮明な恋をしたいと思いつつトロサーモンを一口で食う
生きててもしかたないねと独り泣く片割れがいないさくらんぼは
えらいって言われるよりも大好きって言われたくなる雨降りの午後
向日葵が無事に咲いたと嘘をつき独り如雨露で看病をする
マスカットあざやかに口の中ではじける 辿る道はどこだろう
絶望はないが諦めはある日々 星が降るのを望んで生きる
あたたかなふとんを出られぬ猫と我 そのまま夢はカダスの野へ
さよならの意味を知ってるふりをした 冷えた光が今日はまぶしい
花束はさよならの色満ちあふれ祝福としてあなたを送る
この村の東広場のポストにはやってはならぬまじないがある
フルタイムコミュニケーションエブリデイ 魚のニットで耐えてく日々