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ひっそりこそり

もなぎはいちごつみまとめ vol.1

モさんと短歌のいちごつみをX上でしています。この前、それをまとめてネットプリントで公開していました。

 

 

この記事ではネットプリントの短歌部分をアップしたいと思います。モさんのイラストはぜひXで見てみてください。

 

 

-もなぎはいちごつみ vol.1-

窓の雪 とけたらすべてないことに大丈夫、春はそこにいるよ

 


いつまでもないことばかり気にかかる 悲しいすぎる すべてのすべて

 


これからはすべてのすべて愛せたら 今日は紅茶にスクラロース

 


今日はまた気に入っていたグラス割る 身代わりみたいありがとごめん

 


明日からしばらく休む身代わりに犬のアクスタ机に置いた

 


諦めたみたいにみえる人生を 捨てられている机を見ると

 


諦めないでいることは難しい深呼吸して落ちる灰燼

 


贅沢に深呼吸が出来たからわたしの苦しさまだフィクションだ

 


苦しさは光をあびてできる影 強くなるほど濃くなってゆく

 


日が暮れて自由になって また朝がきたらお別れ夜の影たち

 


自由にはどうしたってなれなくて復讐として桜を踏みつけ

 


嫌な顔やさしい時期だけよろこんで グレーチングに詰まった桜

 


「これはビリビリだからもう踏まないよ」グレーチングを飛んでいく君

 


かなしいと感じるわたしのこの脳でわたしに構わず走るビリビリ

 


私には構わず向かえ少しだけうずくまったらまた走るから

 


穏やかに癒しではなく慰めを構わず座る寒さ忘れて

 


穏やかに かに 横すべりしていった海岸線を歩く夕暮れ

 


夕暮れに起きたら部屋が暗かった オレンジ色って何だったっけ

 


(あ、ライター壊れちゃったよ) ゆうやけにオレンジ色の火を借りたいな

 


借りた本は借り物だから 緊張で結局読まず返して終わる

 


思い出を本にしたから薄青の栞はさんでもう開けないよ

 


1Kの間取りの絵図が薄青で優しく見えた物件サイト

 


霜柱 すべてはとけて無くなって優しさだけは優しさのまま

 


やさしさを自分に向けてあげようと朝から作るやわらかうどん

 


輪郭を形作って気取っても中身はずっとグニャグニャのまま

 


鼓膜をグニャグニャにさせる身につまるくらいの音がいつでもほしい

 


鼓膜って太鼓みたいだ どうやってこの鼓動を打ちつければいい?

 


吸って吐く 呼吸と鼓動確かめる どちらが先かわからなくなる

 


水中で呼吸できたらいいのになサザナミフグとなかよくしたい

 


遊びあうなかよい時間流れてく 静かに揺れるカーテンと窓