willow-leaf log

ひっそりこそり

いちごつみまとめ第二期

 荒地識さんと再び短歌でいちごつみをやりました。下記の記事がいちごつみの第一期です。いちごつみについての簡単な解説も下記の記事に載っています。

 

willow-leaf.hatenadiary.jp

 

 52首になったのでまた一区切りをつけていちごつみ第二期としてブログに公開することにしました。2019/04/14にはじまって2019/08/23に区切りをつけたので約4ヶ月やっていたことになります。長かったような短かったような………しみじみ………。奇数番が荒地識さんで、偶数がヤナギハです。

 


01:『最初から』を選ぶ僕は世界一臆病で愚かな勇者

 


02:臆病という病持つ兎たちわれもわれもとバズりを求め

 


03:無遠慮な手垢のついた言葉たちバズりバズられ息をひきとる

 


04:意味のない言葉によって呪われて浄化の言葉を探しまわる

 


05:「水晶で浄化!」店頭POP見る 魔法少女も救えるのかな

 


06:魔法少女だって色付きリップをするよ 手を握りしめる帰り

 


07:初めての色付きリップ薔薇の色きみの愛を諦めないよ

 


08:灰色をかがやく白に変えたいが手段を知らず沈み込む日々

 


09:天上のかがやく白の太陽が僕を丸ごと見透かしていた

 


10:天上のシャンデリア落ち砕け散る宝石みたいに死んだあの日

 


11:四畳半アパートにあるシャンデリアひとつひとつにもちぐま吊す

 


12:アパートの帰り道に吸う煙草 希死念慮ごと闇に吐き出す

 


13:希死念慮煙のように漂って僕はゆっくり視力を失う

 


14:闇の中漂う僕は蝋燭の明かりを見つけ ああ、あたたかい

 


15:蝋燭を絶やさず生きて108本 気づけばおれが死神だった

 


16:百均で売ってるようなジェネリックの人生を生きてきました

 


17:百均の中に混じった千円の商品みたいな居心地でいる

 


18:快適な心地を探し夜具の中あちらこちらと梅雨の真夜中

 


19:真夜中の仲見世通り林檎飴あかりがわりに百鬼夜行

 


20:胸の中蝋燭の火はか細くて誰かあかりを分けてください

 


21:お花畑な奴から渡された一輪を胸の中へと植え替えて春

 


22:いつまでもお花畑で蜜蜂を追いかけるのはできないようだ

 


23:新宿できみの背中を追いかけて津波のようなリクスーの群れ

 


24:リクスーをキメた新卒応募者を道で見かけた事務服の春

 


25:事務服が一等似合うあのひとは毎日夢で書類を焼いてる

 


26:退職の書類を完成させた後シュレッダーにさよならを言う

 


27:昼食後お前もお腹が空いただろシュレッダーにエサを与える

 


28:最近ハマってるエサはローソンの冷製パスタバジルのソース

 


29:ローソンの看板だけを目印に自転車をこぐ夕日が迫る

 


30:配送の様子見守る四畳半夕日と茶葉はどちらが先か

 


31:早朝に茶葉のゆらぎを閉じ込めて私一人で夜を迎える

 


32:舞い上がりゆっくり落ちる茶葉たちは(手は尽くしたさ)底へと沈む

 


33:真夜中の底へと沈む三日月を水風船へ閉じ込め眠る

 


34:どこまでも遠い真夜中伸ばしても三日月にさえ手が届かない

 


35:どうしても手が届かないものばかり欲しくなってきみの手を握る

 


36:届かない手紙ばかりを待ち望みポスト覗きが日常になる

 


37:ポストから過去の手紙が飛び出して鳥になろうと羽ばたいている

 


38:日記帳に書かれるのはすべてみな未来の君へと宛てた手紙だ

 


39:まっさらな日記帳に嘘ばかり書いて作った人生記録

 


40:行きますと返事し歩きはじめたが動けなくなり嘘つきになる

 


41:雨の日に小雨が降れば行きますあなたの傘にいれてください

 


42:お互いの傘を開いて歩むけど相合傘もほんとはしたい

 


43:陽炎のゆらめくなかでふたりきり相合傘の影へ身を寄せ

 


44:陽炎のゆらぎの先へ手を伸ばすかつてそうでありたかったもの

 


45:手を伸ばす朝顔につたう雫から新たな朝がうまれおちて

 


46:冬に咲き雪に埋もれた朝顔を祝福しようひだまりの手で

 


47:ひだまりを避けつつ暮らす日々なれど味噌汁の中黄身はかがやき

 


48:胸の中しろがね色のかがやきは私だけが知ってればいい

 


49:胸の中秘めた思いの行き場なく今度のゴミはいつの日だったか

 


50:明後日は砕けた皿の命日で裏手の庭に花を捧げる

 


51:透きとおる皿に盛られた果実の狂おしいほど生命の光

 


52:狂ったのがいつの日かわからなくなりカレンダーをなぞる指先