willow-leaf log

ひっそりこそり

12月の短歌と川柳

灰色の観覧車から見える空さよならの色いつでも同じ

 

たましいをひとりで抱えられなくてどろどろ出てるみっともないな

 

人間と関係しなきゃ暴かれることはなかった海岸がある

 


たすけてをミキサーに入れ粉砕し

 

さわやかに外していったあの魔球

 

去年は毎月作った短歌を翌月にこのブログにアップしていましたが、最近はもっと連作を作りたいなと思っていて、今年からは連作ができたらブログにアップしようかなあなどとなんとなく思っています。なんとなくなので従来の形式のままになるかもしれませんが。

 

とりあえず、今年もよろしくおねがいします。

 

いちごつみまとめ第三期

 荒地識さんといちごつみをやりました。下記の記事が第二期へのリンクになっています。

 

willow-leaf.hatenadiary.jp

 

 61首になったので、一区切りをつけていちごつみ第三期としてブログに公開することにしました。

 2019/08/28にはじまって2019/12/01にまでやってたので、約3ヶ月間やってたことになりますね。

 奇数番が荒地識さんで、偶数が私ですが、34首と35首は勘違いで2つ連続で私が詠んでしまいました。

 

 

01:幾月も更新されないカレンダーふれたさきから雪ふりつもる

 


02:フォロー欄最深部に埋まってる更新されないあのアカウント

 


03:お願いよ最深部にまで連れてって戻れなくても構わないから

 


04:2番めの横断歩道渡ったら(ここは地獄だ)戻れなくなる

 


05:あれは芥子いちめんの芥子 どうしてきみがここにいる?ここは地獄か?

 


06:いちめんに生きる理由があるけれどとてもまぶしく掴み取れない

 


07:まぶしくて目を細めただけだけど「楽しそうだね」ってきみが言う

 


08:死んじゃったきみの齢を追い越す日重たいタバコをゆっくりと吸う

 


09:煙草から溶け出す僕の尊厳が喫煙室で行き場失う

 


10:尊厳を探して回る道筋で茨の棘に皮膚を裂かれる

 


11:ささやかな茨の棘が恋人を傷つける夜わすれないで

 


12:恋人は少し苦い炭酸水私は川へ導かれてく

 


13:満月のひかりがとけた炭酸水たんとお飲みよ夜が赦すよ

 


14:赦してと言うことすらも赦されず辞典をめくり言葉を探す

 


15:今はまだ気づかないよう五年後の言葉で告げる一生の別れ

 


16:五年後はどこにいるかなんて  ここが地獄なのかもわからないのに

 


17:地獄での待ち合わせには目印が足りませんので待ってください

 


18:待ち合わせ場所に付いたは良いけれど犬の銅像100体はある

 


19:100体もきみがいたなら1体は世界征服するんだろうな

 


20:制服の丈を少し詰めてみたズッ友だったら良かったのにな

 


21:生来の自信のなさがあらわれたスカート丈を風が縮める

 


22:フリーズドライ化した自信をあたたかい湯をかけて戻そうとする

 


23:あたたかい言葉でできた浴槽に沈んだ僕を捜さぬように

 


24:浴槽でシャボン玉を吹く  壊れても受け止めてくれるあたたかさ

 


25:しゃぼん玉壊してまわるハチワレの猫の目線で空を見上げる

 


26:夕方に空を見上げるときいつも一番星が見えますように

 


27:夕方のパンザマストと合唱す声色かすかに震えていた

 


28:手を伸ばし頭なでると眉下がり少し震えた元ノラの犬

 


29:野良犬に追いかけられる下り坂怖さでいえばジェットコースター

 


30:下り坂ひとりで歩む道のりは  後ろに星があると知らずに

 


31:終末を迎える星の片隅でいのちを燃やす線香花火

 


32:片隅でふたりその手をつなぎたい愛ってとてもあたたかいんだ

 


33:いつもより人が多いとか寒いとか 手を繋ぎたい言い訳ばかり

 


34:午後九時の鯨たゆたう喫茶室待ち合わせには半刻はやい

 


35:パソコンの画面の先の君を待つ鯨のようにふくらむきもち

 


36:いつだって(笑)を打つとき祈ってる画面の先に伝われ温度

 


37:キーボード打つとき猫背になるきみの前世は猫で来世は虎だ

 


38:猫の皮脱げないままの虎ですが窮屈すぎて息ができない

 


39:猫の皮脱がないままでいてほしい僕の名前の貸し出し記録

 


40:脱皮した蝉の抜け殻すりつぶすかつてはあったあのような時期

 


41:唐突に終わりを告げる 足元で蝉の抜け殻くしゃりとつぶれ

 


42:唐突に終わりを告げたあの日から本の埃は積もり続ける

 

 

43:未明から積もり続ける初雪が朝のひかりをはらむ瞬間

 


44:見えずともその感触はいつもある朝のひかりをはらめよ闇夜

 


45:感触がなくなるまでは離さないショパンの響くつめたい廊下

 


46:あたりまえでない僕らが歩んでく廊下はまるで迷路のようで

 


47:登れない迷路の壁に刻まれた三年前の思い出なぞる

 


48:壊せない四方の壁に刻まれた言葉の意味も思い出せない

 


49:  壊せないものばかり増え身動きがとれなくなって自爆しました

 


50:自爆した人の後から発表しハキハキ喋り賞をもらった

 


51:人生をがんばりましたで賞 しとあたたかなねむりそしておわかれ

 


52:ささやかに生きのびていく僕たちが手に握っている片道切符

 


53:今日もまた生きのびていく来年も生きるつもりで球根埋める

 


54:地面から放っておいた球根の呼ぶ声がする 「水をください」

 


55:細やかな水音を聴く夜明け前まどろみのなか海を見つける

 


56:まどろみにふたりとけてく土曜日の小雨の色は淡い青色

 


57:青色のあなたの傘にはじかれた雨の残りで肩を湿らす

 


58:この道はいつか別れてしまうから深く傘さし見えないふりを

 


59:嫌いですわたしを置いてこの道をまっすぐ行ってしまうあなたが

 


60:なにもかも滲んだ視野の目の前に置かれた飴はポケットの中

 


61:ポケットのなかから飛び出す冬がある去年の今日はおでんを食べた

 


62:今すぐに飛んでしまえと声がする五階なんか住まなきゃよかった

 

11月の短歌と川柳

致死性の救いを求めコーヒーに多く砂糖を入れる日曜

 

放置した炊飯器の蓋開けて過去の自分と直面すべきか

 

そのように言ったら溶けてしまうかも オブラート一枚の隔たり

 

まばたきの夢だとしてもうれしくて道端の鳩かがやきは白

 

一番じゃなきゃだめですと言う人の頬の色は心臓めいて

 

その影はあまりに暗くかがやいたきらきらさえも吸い込まれてく

 

つながって分かりあってるつもりでもまだ開けられぬパンドラの箱

 

出られる部屋は出てしまう部屋ドアの向こうにEXITとあり

 

紅が裂けてしまえば死体あり

 

題詠100その2

2019-021:スタイル:お互いのスタイル保ちお互いに支え合いつつ生きていきたい


2019-022:酷:君の苦しみなんてステーキナイフで残酷に切り刻んでやる


2019-023:あんぱん:もふもふとあんぱん食べる時は過ぎ長い愛の時代はこれから


2019-024:猪:考えが流星みたく加速する  イノシシよりもネコになりたい


2019-025:系:きらら系っぽいふんわりでありたい エンドがあれど続く生活


2019-026:飢:飢えているときにはいつも君の顔思い浮かべていっぱいになる


2019-027:関係:関係は空気のように見えなくてこわしたくない手探りだけど


2019-028:校:高校のあざやかデビューに負けちゃった中学デビューの君の涙


2019-029:歳:こんな歳だからぼくらもう高校生のような恋はできなくて


2019-030:鉢:鉢植えに水をやるときがんばれとたまに言うけどしおれつつある


2019-031:しっかり:しっかりとしなさいなどど言われても意識のゆれは透明すぎる


2019-032:襟:蜘蛛の巣の糸は世界を支えてる襟を正して会社へ向かう


2019-033:絞:お互いを支え合うのが愛ならば絞めつけ合うのも愛なのですか


2019-034:唄:歌唄うことができないロボットは介護業界行くことになり


2019-035:床:床で寝る君がときたま跳ねるのがトランポリンの夢だったらな


2019-036:買い物:買い物に行くのはいつも五時半でチーズボールは売り切れている


2019-037:概:君がいつでも君だから大好きでたたそれだけで概ねハッピー


2019-038:祖:神様と君は私に言うけれど教祖だったらなってもいいよ


2019-039:すべて:まっすぐにすべて見透かすような目を心を青に見つめ返そう


2019-040:染:染められた灯りに影はつきもので踏まずにそっと見つめていたい

 

10月の短歌

私だけ誘われていないお誕生日パーティーがたくさんある夢

 

そのような人になろうと思うこと雪に埋もれる灰色の道

 

誘蛾灯 惹き寄せられた虫たちはそうするしかなかったのだろう

 

脱皮した蝉の抜け殻すりつぶすかつてはあったそのような時期

 

遺伝子に刻み込まれた罪たちはエピジェネティックに浄化される

 

ずっと先のことばかりを夢想して空に絵筆を動かしてみる

 

精神を染め上げていく術を持て目には見えない糸は断ち切れ

 

労働で終わった脳にコヘレトはこれもまた空これもまた空

 

絶望はいたるところに拡散しどこが核かもわからなくなる

 

野原には多く地雷が潜んでてうっかり踏むと爆発します

 

題詠100その1

nomaiga.exblog.jp

こちらのお題をお借りしてブログで題詠100をやっていこうと思います。2019年12月31日までに完走することを目標にします。20首できたらブログにアップって感じにしていこうかと思います。

 

2019-001:我:「このおでん、我が作ったものである」ほおばりながらふたりで笑う


2019-002:歓:歓びはシナプス中をかけめぐり痺れのままに叫びをあげる


2019-003:身:皮がなく身だけの鮭の焼いたやつを出されたときの顔をしている


2019-004:即:即効でかかるデバフは失礼でいつも時間を知らせずに来る


2019-005:簡単:いつだって好きになるのは簡単で嫌っちゃうのはお互いによる


2019-006:危:コンビニに危なくなった人がいて粘りけを増す口内のガム


2019-007:のんびり:のんびりと言えない訳があったけど高速すぎて消し炭になる


2019-008:嫁:嫁になり半年たったわけですが朝は毎日茄子を出される


2019-009:飼:飼われるより飼いたくなった人がいて5億円がほしかったんだ


2019-010:登:登ったら死ぬぞと言われても天へつながる糸にしか見えなくて


2019-011:元号:元号を予言した人たちは政府の機関へさらわれていった


2019-012:勤:勤めていた会社が上は大火事下は大洪水になった夢


2019-013:垣:垣根越しに話すだけで嬉しくて花を渡そうとしてしまった


2019-014:けんか:けんかしたわけじゃないけどなんとなく最後のポテトをサッと食べる


2019-015:具:傷だらけで穴の空いた家具たちは誰もいない部屋に置かれて


2019-016:マガジン:ともだちマガジン2月号特集!友チョコはハート型?それとも!?


2019-017:材:材料がたりなくなってかぼちゃなしかぼちゃプリンを作る昼過ぎ


2019-018:芋:こんなにしわくちゃでおいしくなさそうでもこの芋だって生きてるんだ 


2019-019:指輪:指輪には力があると彼は言うだからあなたに惹かれたかもね


2019-020:仰:天を仰いで人生ってすばらしい!というひとの過去の罪状

 

9月の短歌と川柳

川柳も今月からはじめてみました。まだ初心者!!ですがなかなか楽しいです。

 

-短歌-

即効でかかるデバフは失礼でいつも時間を知らせずに来る

 

兵隊の人形たちを並べてくこわれたものはいつも目の前

 

たいせつなものなんか目に見えなくて部屋の埃の色だけがある

 

鈍色のシンクに白の大山脈ぼくらセルフネグレクターズ

 

サクサクと尊厳の層削れてくサクレレモンの輪切りの酸味

 

欠員のため急募!!!!!わたしと一緒の地獄まで落ちてくれる人

 

-川柳-

精神のキコキコキコと削れる音

 

錆びついた鳩時計には螺子は無く

 

悪癖はタールのようにこびりつく

 

妄想が現実になる新世界

 

白色が吐息に混ざり拡散す

 

静謐に赤い絵の具を混ぜてみる

 

金魚玉ぱちんと割れて覚醒す


五月雨のような記憶は消えちまえ

 

ぐにゃぐにゃを融けないように凍らせる

 

 

迷うとき白が黒になり、暗中

 

暗闇で淀みに浮かぶ自己の像

 

そんなもの捨てちまえよと嘯いた

 

野に刺さる解釈は深紅の懺悔

 

わかってということすらも遅すぎた

 

雨漏りを口で受け止め嘔吐する