willow-leaf log

ひっそりこそり

8月の短歌

シナプスが電子に変わる夢を見たしょうがないだろ人間だもの


そのような愛はあなたの健康を害する可能性があります


核兵器を正しく使う 先生は花丸の100点をくれる


しあわせのペースメーカー組み込まれ世界平和は成就しました


地球儀は1回転して朝が来る誰のサブサブサブアカウント


ゆるやかに川の向こうへ飛んでったコミュニケーション練習ドリル


あの人と相互ブロックしあってた彼はおそらく生きてるだろう


吐く息が次々白くなってゆく 言わないことで誇りを保つ


幸せになれない人となれる人割れかけている皿の白色


「可愛いね」という言葉の引き金で心臓の血がほとばしる夏

 

いちごつみまとめ第二期

 荒地識さんと再び短歌でいちごつみをやりました。下記の記事がいちごつみの第一期です。いちごつみについての簡単な解説も下記の記事に載っています。

 

willow-leaf.hatenadiary.jp

 

 52首になったのでまた一区切りをつけていちごつみ第二期としてブログに公開することにしました。2019/04/14にはじまって2019/08/23に区切りをつけたので約4ヶ月やっていたことになります。長かったような短かったような………しみじみ………。奇数番が荒地識さんで、偶数がヤナギハです。

 


01:『最初から』を選ぶ僕は世界一臆病で愚かな勇者

 


02:臆病という病持つ兎たちわれもわれもとバズりを求め

 


03:無遠慮な手垢のついた言葉たちバズりバズられ息をひきとる

 


04:意味のない言葉によって呪われて浄化の言葉を探しまわる

 


05:「水晶で浄化!」店頭POP見る 魔法少女も救えるのかな

 


06:魔法少女だって色付きリップをするよ 手を握りしめる帰り

 


07:初めての色付きリップ薔薇の色きみの愛を諦めないよ

 


08:灰色をかがやく白に変えたいが手段を知らず沈み込む日々

 


09:天上のかがやく白の太陽が僕を丸ごと見透かしていた

 


10:天上のシャンデリア落ち砕け散る宝石みたいに死んだあの日

 


11:四畳半アパートにあるシャンデリアひとつひとつにもちぐま吊す

 


12:アパートの帰り道に吸う煙草 希死念慮ごと闇に吐き出す

 


13:希死念慮煙のように漂って僕はゆっくり視力を失う

 


14:闇の中漂う僕は蝋燭の明かりを見つけ ああ、あたたかい

 


15:蝋燭を絶やさず生きて108本 気づけばおれが死神だった

 


16:百均で売ってるようなジェネリックの人生を生きてきました

 


17:百均の中に混じった千円の商品みたいな居心地でいる

 


18:快適な心地を探し夜具の中あちらこちらと梅雨の真夜中

 


19:真夜中の仲見世通り林檎飴あかりがわりに百鬼夜行

 


20:胸の中蝋燭の火はか細くて誰かあかりを分けてください

 


21:お花畑な奴から渡された一輪を胸の中へと植え替えて春

 


22:いつまでもお花畑で蜜蜂を追いかけるのはできないようだ

 


23:新宿できみの背中を追いかけて津波のようなリクスーの群れ

 


24:リクスーをキメた新卒応募者を道で見かけた事務服の春

 


25:事務服が一等似合うあのひとは毎日夢で書類を焼いてる

 


26:退職の書類を完成させた後シュレッダーにさよならを言う

 


27:昼食後お前もお腹が空いただろシュレッダーにエサを与える

 


28:最近ハマってるエサはローソンの冷製パスタバジルのソース

 


29:ローソンの看板だけを目印に自転車をこぐ夕日が迫る

 


30:配送の様子見守る四畳半夕日と茶葉はどちらが先か

 


31:早朝に茶葉のゆらぎを閉じ込めて私一人で夜を迎える

 


32:舞い上がりゆっくり落ちる茶葉たちは(手は尽くしたさ)底へと沈む

 


33:真夜中の底へと沈む三日月を水風船へ閉じ込め眠る

 


34:どこまでも遠い真夜中伸ばしても三日月にさえ手が届かない

 


35:どうしても手が届かないものばかり欲しくなってきみの手を握る

 


36:届かない手紙ばかりを待ち望みポスト覗きが日常になる

 


37:ポストから過去の手紙が飛び出して鳥になろうと羽ばたいている

 


38:日記帳に書かれるのはすべてみな未来の君へと宛てた手紙だ

 


39:まっさらな日記帳に嘘ばかり書いて作った人生記録

 


40:行きますと返事し歩きはじめたが動けなくなり嘘つきになる

 


41:雨の日に小雨が降れば行きますあなたの傘にいれてください

 


42:お互いの傘を開いて歩むけど相合傘もほんとはしたい

 


43:陽炎のゆらめくなかでふたりきり相合傘の影へ身を寄せ

 


44:陽炎のゆらぎの先へ手を伸ばすかつてそうでありたかったもの

 


45:手を伸ばす朝顔につたう雫から新たな朝がうまれおちて

 


46:冬に咲き雪に埋もれた朝顔を祝福しようひだまりの手で

 


47:ひだまりを避けつつ暮らす日々なれど味噌汁の中黄身はかがやき

 


48:胸の中しろがね色のかがやきは私だけが知ってればいい

 


49:胸の中秘めた思いの行き場なく今度のゴミはいつの日だったか

 


50:明後日は砕けた皿の命日で裏手の庭に花を捧げる

 


51:透きとおる皿に盛られた果実の狂おしいほど生命の光

 


52:狂ったのがいつの日かわからなくなりカレンダーをなぞる指先

 

7月の短歌

水玉のことをぼつぼつと呼ぶ君が着てるシャツはしましまだった

 

水槽にゆっくりつもる残骸はろ過装置でも取りのぞけない

 

目の前に暗い帳が下りてきて野菜炒めを塩辛くする

 

輪の中はエコシステムが完璧で仲間に入れてさえも言えない

 

生きてるも死ぬも迷惑らしいのでゾンビになって日々は過ぎてく

 

サンキューとサンクス前で言う君にもらったチョコは溶けかけていた

 

 

6月の短歌

エピローグの語りなんかほっといて夕日の果ての船に乗ろうよ

 

Loveの実を砂糖とともに煮詰めたら焦がしてしまってほんのり苦い

 

澱んでる時さえ洗い流す雨祈りのように忘れちまえよ

 

画面には「ERROR!」の文字が表示され窒息死する愛が欲しいよ

 

幸福は私の一歩先を行きその尾を追ってさまよう迷路

 

アンダンテ でんでんむしはそう言って歩く速さで道のりをゆく

 

前にいるエネミーぱっと目視して正しい人の社交の準備

 

一瞬の間を置き開始争奪戦からあげ掴む君のすばやさ

 

フォロワーで短歌作ったin2019

たこカアカウント(@takoyaki_i_can)でいいねしたひとに短歌を作るのを今年もやりました。いいねしてくれた人たちありがとうございます。

 

締め切り後にいいねくれた人もいましたが来年もたぶんやるのでまたの機会によろしくお願いします。

 

 

コーヒーに入れる砂糖のグラム数だって知ってる僕の右腕
@white_cardina1

 

山奥の人が夢みる都会とはカメの遅さで歩けない街
@kame_kau

 

みんみんとスキップをする姿見て共に手を取り踊りたくなる
@hitom_in

 

さびしさは根本部分が弱点でいつか倒され砕けちってよ

@shiki_neco

 

結晶に降りそそぐ陽が反射して見える色たち感情という
@61407102nd

 

百年後ネコと僕らの関係はより良いものになっていますか?
@necocen

 

あざやかに強風すらも利用して綿毛はふわり遠くに向かう
@tabeta_enough

 

書店にて1000円の地図買ってきて地図記号:我 太く書き込む
@18384g

 

あざやかにゲームの駒の運命を変える手際はロジックマシン
@Suikup

 

午前零時をすぎても寝るまではまだ今日なのでセーフですビーム!!!! !
@sexywriggle

 

あの人と話すときにはいつだってしっぽぱたぱた振ってるのです
@ultra_Kh6

 

半分にわけた焼きいも君の手に渡すその時シャッターはおり
@Kurutakenoko

 

ライターでスピリタスにも火をつけて現れる君 酔いのせいかも
@dl_t3

 

はっきりと線で別れた国々は(どこにしようか)迷いは消えず
@n_tom

散る前の桜の淡い優しさを絵筆手に取り絵画に写す
@KAYOs_blossom

 

9割を取る勢いで勉強し当日サボるカフェラテの味
@hebokuro

 

ミルクティー頼んだあとの空白を埋める会話は染み入る甘さ
@royal_7stars

 

夏の日にとても適した服を着て寝転ぶときの畳の心地
@suitable___

 

めくったらコーヒーのシミついていた苦味もあった過程は遠く
@TCN_Kyoto_TPU


ためいきをつきそうになりハッとしてニャーとつぶやき背中をそらす
@katsyanyaa

 

スカートを一回転させ花咲かす君のロングに光は射す
@akahomu

 

猫にしらす干しをやる あの時間はなつかしさになるのだろうか
@kuroclef

 

ハニワ顔しながらキーを叩く日々 歴史に残ればいいと思う
@BlogBurari

 

トンネルを抜けた先の宇宙にて刹那にかがやくひかりになろう
@nloglogn

 

ツリフネソウみたく生きてる君のこともっと知りたくなった帰り
@tsurifune

 

年号がタピオカじゃない世界ではつ令和って言える君がいる
@okurakoko

 

すみっこにいつのまにやらはえていたキノコの群れの観察日記
@tantra_festum

 

数百の触手を使い描く絵は宇宙クラゲの意味が込められ
@porankaran


助手席の後ろが君の定位置でラジオにいつも返事してたね
@phe0214

 

この森のどこかにあるといわれてる金のバターを探しに行こう
@tt22f

 

ピリ辛の冷麺みたくからまった運命すべて平らげてやる
@pirikarajapan

 

2019年5月の短歌

シュレッターミスプリントをさあお食べお前はいい子喋らないから

 

職場にて隣の席の空白を言わないことで誇りを保つ

 

こぼしたら拭いても残るシロップの暴力的に甘えさせてよ

 

叶わない忘れ去られた祈りたち青を見たとき思い出すのだ

 

完全に理解をしたら輪郭が溶けてしまって曖昧になる

 

未履修の春を吸い込む僕たちは春のことなど知らなかったね

 

何物にもなれなかった僕たちは答え合わせの時間に入る

 

意味のない言葉にだって縛られて身動き取れないこともあるし

 

薬指 指輪ははまる輪くぐりをあざやかにするイルカの動きで

 

 

2019年4月の短歌

生きて出会えたことに感謝するなんて 車窓の暗闇を見据える

 

あざやかなスキップ決めたあの夏は水溶性で海に溶けゆく

 

大丈夫息を深めに吐いてみて雨に濡れた地面は優しい

 

アンバランス・デイ やじろべえの日々よふらふらと揺れながら続け

 

駄菓子屋のラムネみたいな人だった ビー玉だけが手元に残る

 

「またね」が含まれていないさよならだった 紫陽花は枯れても紫陽花

 

叶わない忘れ去られる祈りたち青を見たとき思い出せさあ